日本代表・チーム評



このブログには、
W杯とか日本代表のことはあんまりマジメに書いてこなかったですよ。


好きだからこそ敢えて興味のないフリをしてきたというか、好きな娘の髪を引っ張って「帰りの会」で問題になってしまうというか、あーそれは関係ないか。


そうなんだけれど、
自分メモ的な意味も含めて、日本代表についてレビューしちゃったりしようかと。




■過去と今回の日本代表


岡田ジャパン」(98年・フランスW杯)
 ・アジア予選を突破したご褒美としてのワールドカップ
 ・個々の能力・戦術・環境とも、世界と戦うレベルになかった
 ・結果、世界との差を感じる経験をした


トルシエジャパン」(02年・日韓W杯)
 ・自国開催で、予選リーグ突破を目指したワールドカップ
 ・個人技でなく戦術(システム)で世界と戦うトルシエの戦略
 ・日本人でも、世界と戦えるということが証明された


ジーコジャパン」(06年・ドイツW杯)
 ・地区予選でも苦しんだが、予選リーグ突破が期待された
 ・システムでなく、個人の能力を引き出して戦うジーコのチーム
 ・(現状では)個人の能力では世界には勝てないことがわかった




トルシエジャパンジーコジャパン


トルシエジャパンは、システムで戦うチームだった。
だからこそ、ベースの能力が一定以上あれば、好調不調の波が小さく、プレスを掛け続けられる運動量のある選手が選ばれていたと思う。
川口より安定感のある楢崎がゴールを守り、弱さもあるけれどファンタジスタである中村は代表を外れ、FWには運動量が豊富で前線からプレスを掛けられる柳沢・鈴木や森島が起用された。
中田(英)には、ファンタジスタとして意外性のあるプレーではなく、戦術に基づいた当たり前のことを質の高いレベルでプレーすることが期待されていた。


一方、
ジーコジャパンは、個人の能力を引き出して戦うチームだった。
そして、日本において世界に対抗できる個人の能力を持っていると考えられるのは、MFのポジションだけである。
当初、中田や小野にも創造的な働きを期待していたように感じたが、結局は中村俊輔ひとりに絞ったように思う。
特にW杯における日本代表は、良くも悪くも中村というファンタジスタ次第という色が強かった。
(そして、結果はご存知の通り)




■日本代表のメンバーについて


FWは、
久保が選ばれなかったのは意外だったけれど、直前のあの出来では仕方ないかなぁ。
巻というオプションも含めて、妥当なメンバーだと思う。(平山という選択肢はあったと思うけど)


MFは、
ある一点を除けば妥当なメンバーだと思う。
で、一点とは、松井大輔
俊輔が不調だったりアクシデントがあったりした場合、日本におけるもう一人のファンタジスタは、ベンチに入っていた方が良かったのではないかと思う。
(結果的に試合にでなかった遠藤に残念ながら外れてもらうとか)


DFは、まあこんなもんでしょ。
個人的には松田が好きだったんだけどねぇ。
それと、後から加わった茂庭は、完全に準備不足だったように思う。




■コンディションについて


一番早く地区予選からW杯の出場を決めた日本は、ドイツの次に準備の時間が長くとれる国だったはず。
しかーし、技術・戦術的にもコンディション的にも、時間を上手く使えたのかどうか疑問が残る。
試合の日時なんて以前から決まっていて、初戦・2戦目ともに暑くなる可能性が高かったのも分かってたよねえ?
終盤に点を決められてしまう弱さ、決められた後の建て直しができない課題も分かってたよねぇ?(しかも、直前の親善試合でドイツにもやられたし)
決定力がないことも分かっていたよねぇ?シュート練習ってW杯が始まってからやるようなことなんだっけ?


暑さもあったのだろうけど、各選手のコンディションはあまり良くないように見えた。
コンディションの良い選手を優先して選んだはずの日本代表は、怪我を抱えている選手が多かった。
モチベーションの低さも気になった。熱い気持ちを表に出してプレーしているのは中田と川口ぐらいだったし。(それがいいとは限らないが、、、)
日本のレベルが低いといっても、やってはいけないミスが多すぎた。そして、それが失点につながらなかった幸運を活かせなかった。


本当にW杯の予選の3試合に向けてコンディションが調整されていたのか、今のチームにおいてベストのメンバーだったのか、疑問が残ると言わざるを得ない。




ジーコジャパン・総評


日本はジーコに代表の監督を任せた。
そして、期待した。


結果は良くなかったが、これで責められるべきではないと思う。
ジーコは、ジーコのやり方でサッカーを魅せた。
監督としての経験は浅いながら、4年間を通じて大きく考え方がブレることもなかったように思う。


日本を愛し、日本に愛され、喜びも悲しみも共に味わってきたジーコを誰が責めることができるのだろうか?


ジーコに対する感情論だけではない。


トルシエジャパンがW杯で予選リーグを突破したのは、トルシエの采配によるところが大きかった。
少なくとも僕にはそういう印象がある。
そして、その時はそれで良かったのだと思っている。


けれど、それは本当に誇り高き日本代表なのだろうか?
日本の選手の特徴は何だったのだろう?
組織力は、選手の特徴にはなり得ないじゃないか。


日本は、ジーコに賭けた。
ジーコは、個々の選手の能力で世界と勝負すると言った。
そして、W杯の前までは、うまくいっていたように思う。


監督は選手に大いに期待し、選手はそれに応え、ファンは代表チームを応援する。
それは、本当に素晴らしいことだと感じている。
例えば、アジアカップは、それが見事に成果として表れたものだと思う。




時代性を考えたとき、今の日本には、レベルの高い人材が揃っていたと思う。(松井は代表を外れ、小野は試合に出られないレベルなのだし。決定力はないけど、、、)
そして、多くの選手がピークに近い年齢で今回のW杯を迎えたといえる。
日本にとっては、個々の選手の能力が、W杯という舞台で発揮され活躍できる最大のチャンスだったと思う。


そして、その監督にはジーコが相応しい。
僕は、いまだにそう思っている。


高原が個人技で突破して得点を取ることを期待した。
中村がフリーキックをゴールに叩き込むことを期待した。
中田が世界を驚かすキラーパスを通すことを期待した。
加地がサイドから素晴らしいクロスをあげることを期待した。
川口がスーパーセーブを連発して無失点で守ることを期待した。


ジーコ監督は、
それを“夢”でなく“期待”させてくれた。
“期待”だけでなく“予感”すらさせてくれた。


・・・現実にはならなかったけれど。




たくさん不満もあるのだけれど、
それでも期待に応え続け、そして最後に敗れたジーコジャパン
サッカーファンとして、
ジーコ監督と選手たちには、大いに感謝したいと感じている。


そして、また、
新たに監督になるであろうオシムと、これからの代表に期待したい。